マインドフルネスを共通言語化し、
感情のマネジメントが定着した

Sansan株式会社 取締役/CHRO/人事部 部長大間 祐太 様

Sansan株式会社 人事部 グループマネジャー我妻 小夜子 様

導入プログラム
Search Inside Yourself(SIY)
対象階層
管理職、全社員

Tag

  • アンガーマネジメント
  • マネジメント
  • 組織開発

Index

導入の背景
社員一人の生産性が1%でも上がるのなら、やってみる
導入した感想
マインドフルネスが社内の共通言語となった
導入後の変化・成果
社員主体のマインドフルネスの集まりや「集中力が上がった」という声も

社員の働き方や生産性の向上に熱心に取り組まれ、2019年の上場以降も急成長を続けているSansan株式会社。
管理職研修、全社員を対象とした研修にSIYを導入され、社員のエンゲージメント向上、生産性向上を支えている人事部の担当取締役の大間祐太様と人事部の我妻小夜子様に社員研修としてSIYを受講された様子や受講後の変化などについて、お伺いしました。

導入の背景社員一人の生産性が1%でも上がるのなら、やってみる

SIYを導入した背景について教えてください。

(大間)当時(2017年にSIYを導入)は、「Google のベストプラクティスで彼らがやっていることであれば、有無を言わさずやってみよう」という考えがありました。

その背景として、Sansanのミッション自体が働き方にフォーカスしていることがあげられます。いまのミッションは、「出会いからイノベーションを生み出す」ですが、当時は「ビジネスの出会いを資産に変え、働き方を革新する」というものでした。

世の中の働き方を変えていくにあたって、「我々自身の働き方を変えていかなくてはいけない」ということが、社内制度の在り方としても、考え方としてもありました。そのための新しいチャレンジをしていくなかの一つとして、SIYを導入しました。

社長、役員の方々から、マネージャーの方々まで、管理職50名以上に受講頂きました。上場前の重要な時期に、二日間も経営幹部が業務を止めて研修を受ける、という意思決定は、大変な投資だったのではないでしょうか。

(大間)SIY という研修に関わるコストはもちろんあるのですが、社としては「社員一人ひとりの働き方、生産性をどう上げていくか」を重要視しています。そのため、とそのコストをかけてでも参加した社員一人が1パーセントでも生産性上がればと考えて取り組みました。当時の社員は500人ほどでしたので、一人1%上がったら相当なインパクトになります。

そういうことを考慮しながら、「1%でも上がるのなら、価値がある」という考え方のもと、やることを決めたのが当時です。


導入した感想マインドフルネスが社内の共通言語となった

実際の研修の様子や参加者の変化はいかがでしたか?

(我妻)参加者50名を見ている限り、素直に全てのワークに挑戦する人が多く、「吸収していこう」という姿勢で取り組んでいたと思っています。印象的だったのはマインドフルウォーキングです。すごく静かにゆっくり歩くという体験なので見え方がユニークなのですが、管理職たちがくすくす笑うこともなく実施しており、ちゃんと向き合ってくれたのかなと思います。

(大間)管理職も、日々タスクを詰めこんでいるなか、時間を割いているからには何か意味あるものにしようという思いを、全員が持っていたと思います。「研修だけで人が成長するわけじゃない。現場で成果に向き合うことで成長し、生産性が上がっていく」という考え方だったので、役員も交えた管理職全員という規模で、多くの時間を割くプログラムを受けるのは、初めてでした。

また、当時参加した役職者は比較的感情が強く出るメンバーが多く、メンバーマネジメントのシーンなどで「自分の感情をコントロールしていく」というところは皆が興味を持っていた部分だと思います。

(我妻)ある研究開発の管理職は、問題意識が高く、ポリシーも強く持っていたため、初日はしっくり来ていない様子で、「自分に合うとは思えない」とも言っていました。しかし、翌日は素直に取り組んでいました。脳科学などの理論的な背景を理解することで、徐々に腹落ちしていったのだと思います。

その後、対象範囲を広げて、SIYでの学びを社内の共通言語にするという目的で、全社員にSIYの3時間バージョンを受講いただきました。

(大間)マインドフルネスが社内で共通言語化したというのは、一番の変化です。また、マインドフルネスの実践による効果も、共通言語化したと思います。

(我妻)マインドフルネスというワード自体が共通言語化されたことで、仕事を始める前にちょっと自席で瞑想するとか、作業を始める前に一呼吸おくということが当たり前のような状態になったことは大きな変化だと思っています。ベルを自席に置いている人たちもいて、チーンと鳴らして、静かに瞑想してから、仕事を始めています。

(大間)それは全社で取り組んだことによる効果であり、瞑想すると心が落ち着くとか、スッキリして新しいことに頭を切り替えられる、といった共通認識があってこそできたのだと思います。

社員主体のマインドフルネスの集まりや「集中力が上がった」という声も

導入した効果や成果について、教えてください。

(大間)導入後の変化としては、社員たちが主体的に本社の多目的スペースを使ってマインドフルネスの集まりを開くようになりました。また現在、コロナ禍で在宅勤務が多いなか、人事部門として社員のエンゲージメント向上やつながりを取り戻すための施策を行っているのですが、我妻が責任者として、お昼の時間にマインドフルネス講座などを開き、社員がそこに集まってくれています。

(我妻)インターネット上にあるマインドフルネスガイドを使用して、「みんなでお昼にやりましょう」と、月に2~3回開催しています。マインドフルネスというきっかけがあることで、仕事で交わらない社員同士の会話にもつながっています。共通の趣味と言いますか、好きなことが同じ人同士でつながるきっかけにもなり、社内での新しい出会いの場となっています。

(大間)「集中力上がった」という声もあります。また、コロナ禍以前は、朝早く出社すると、社内の多目的スペースで窓の方を向いて瞑想している社員もいました。SIYで荻野さんに携わってもらってなかったら、そういう光景はなかったのではないかと思います。

意図せず感情が出てしまうのか、意図して感情を出すのかは大きな違い

(大間)また、管理職の中には、目標達成を目指し、部下を指導していく中で感情が強く出てしまう人もいました。しかし受講後には、一呼吸おいて部下の話を聞いたり、部下に傾聴するためのランチに行ったりするようになったという人もいました。

(我妻)ある管理職は、研修の当初に「感情的になって会話するのって大事じゃないですか」と語気を強めていました。それがいまでは、多少マイルドになっていると感じます。

その管理職の方とは、「自分がカッカしたものを衝動的に伝えるのか、それとも、部下の成長のために冷静さを保ちつつ、エネルギーをもって伝えるべきところを伝えるのか」というのは大きな違いですよね、と話したことを思い出しました。

(大間)本当にそうですね。何かを伝える際に、意図せず感情が出てしまうことと、意図して感情を出しているのはでは全然違う。私も含めて、そこを意識するようになったのではないかと思います。

(我妻)他の管理職の例では、「妻の話をちゃんと聞けるようになって仲良くなった」とニコニコして話をしてくれたことも印象的でした。

管理職のコミュニケーションが1%でも良質になれば、メンバーの生産性も上がる

SIYを企業研修に検討されている経営者、人事責任者や担当者へのアドバイスがありましたらいただけますか

(大間)管理職の方々、特に感情をコントロールして、メンバーにどういう状況で何を伝えるか、それによってメンバーはどう思うだろうかなど、伝え方を自分の中で意識してコントロールしなければならない方には、すごくいい機会になると思います。

やはり管理職がメンバーをどう動かすか、どのようにメンバーとコミュニケーションするかで、その企業の業績が圧倒的に変わってくると思うのです。さきほどお話した通り、そのコミュニケーションが1%でも良質なものになるのであれば、その配下にいるメンバーの生産性も上がってくると思いますし、そこにおいては大きな効果があるのではないかと思います。

定量化するのは難しいのですが、マインドフルネスによって頭が整理されて、コントロールすることによる効果が1%でもあれば、組織全体にとっては大きな効果になりますし、確実にその効果はあるだろうと思っています。そのような思いで受けてもらえると「確かにそうだ」とより実感されるかもしれません。

(我妻)社員一人ひとりがセルフマネジメントし、自己認識力やエモーショナルインテリジェンスが上がっていくことで、上司部下間のやり取りだけではなくて、チームビルディングも円滑に進めることができるようになることは、組織を強化する中ですごく大事なことだと思っています。Sansanの場合には、それを社員の生産性向上と言い換えていますが、各社さん一緒なのではないでしょうか。

(大間)一人当たりの社員の生産性を引き上げるという観点でも、このコロナ禍で働いている様子が見えない状況の中で、一人で家にいて集中している時間の生産性を上げることは、とても価値があると思います。

(我妻)Sansanでは、社内のコミュニケーションツールにはSlack、お客様とのやり取りにはメールを使うなど、さまざまなツールを駆使してマルチに動かなくてはいけません。しかし、コロナ禍で在宅勤務が増えるなか、そうしたツールの通知機能に敏感になりすぎている人もいます。そのような人も一回呼吸に注意をむけることで仕切り直せるようになるため、実際にオンラインでの瞑想の場に参加したメンバーからも、共通した声として出ています。