3回呼吸のマインドフルネスで会議が活性化

LINE株式会社 執行役員 スタンプ事業部長渡辺 尚誠 様

導入プログラム
マインドフルネス体験セミナー(オンライン)
対象階層
スタンプ事業本部全スタッフ

Tag

  • セルフマネジメント
  • マネジメント
  • ウェルビーイング

Index

導入の背景
自分が座禅で得た気づきを組織のメンバーとともに
導入した感想
瞑想の科学的な説明が腑に落ちた
導入後の変化・成果
3回呼吸のマインドフルネスで会議が活性化

月間利用者数8,800万人※を誇る日本を代表するコミュニケーションアプリを展開するLINE株式会社。日本人口の約68%が利用しているLINEといえば、すぐ目に浮かぶのが楽しいLINEスタンプの数々。そのスタンプ事業部のみなさまに受講いただいた、マインドフルネス体験セミナー。同事業部を率いる渡辺さんにお話をうかがいました。
※2021年3月時点

導入の背景自分が座禅で得た気づきを組織のメンバーとともに

研修のお問い合わせをいただいたきっかけとして、その前に京都のお寺で座禅を経験されたとうかがいました。

はい、ICC(注:経営者・経営幹部の業種横断コミュニティ)の会合で京都に行ったときです。うちの広告担当役員が出席するというので、一緒に参加しました。

それ以前のご経験は。

点と点がつながったと思ったのは、大学時代に哲学を専攻していた関係で、少しだけインドに留学したことがあるのです。そこで横隔膜の可動域を広げる呼吸法とか鎖骨を広げる呼吸法などを授業で習った記憶があります。それをきっかけにして15~6年くらい毎週プールで泳ぐようになり、そこでも呼吸を意識するようになりました。

そこから座禅に結果としてつながってきたと。

はい、京都で座禅を組んだとき、そう言えば、なぜ自分はプールで泳いでいるのだろう?と思い返したとき、マインドフルネスやってみたいなという気持ちにもつながり、いろんなことがリンクしてきました。

座禅にしろ、その後に実施させていただいたマインドフルネス研修にしろ、ご自身や組織としての課題との関連はどうだったのでしょう。

組織で顕在化している問題があってということではなかったのですが、コロナ禍でリアルで会話する機会が減り、圧倒的にインプットが足りていないという実感がありました。京都での体験の後、会社でこんなことをやってみたいという話をスタッフと話したとき、「実は私もマインドフルネスみたいなことに興味があります」という話になりました。
そこで事業部のみんなにアンケートをとってみたところ、手を挙げた人が多かったのです。それで事業本部のスタッフ全員を対象に企画しました。


導入した感想瞑想の科学的な説明が腑に落ちた

かなり皆さん当初からポジティブに反応してくださったのですね。ほぼ全員が初体験だったと思いますが、反応はいかがでしたか。オンラインでの体験がどうたったかも含めてうかがってみたいのですが。

そうですね、うちの場合はコロナ禍以前からLINEのグループトークを使って隣の席の人ともやり取りするといったことが日常にありました。そのため仕事全体としてオフラインからオンラインへ移行しやすかったのです。

それでオンライン研修にも違和感はなかったと。

はい、ただ在宅勤務になりリフレッシュがうまくできていなかった面はあり、それだけにマインドフルネスが非常にためになったという声がありました。また、瞑想に科学的な根拠があることや、それを日常に取り入れるコツがわかった、といった非常にポジティブな感想が多かったです。また私が京都で体験したような座禅と違い、何も特別な準備なく気軽に参加できたのもよかったですね。

時間も限られていたので、あまり難しくならない範囲で科学的な説明もさせていただいたつもりです。そのあたりは、難しいとか、物足りないとか、反応に違いはあったでしょうか。

もう少し知りたかったとか、もっと長くやってほしかったという声はありました。それはポジティブな反応だったと思います。うちの事業部にはロジカルな人が多いので、科学的な根拠を押さえていただいたことは、すごく納得感が上がる理由になったと思いました。

とはいえ、みなさん初めてでしたから、戸惑った方もいらっしゃったかと。

たしかにマインドフルネスや瞑想と日常の業務をどうつなげるかということに、人によっては疑問をもつと思うのです。そういう人にも、仕事との関わりについて理解してもらえるといいなと思いました。私のほうでも、実はこういう経緯があって、こんなことをしてみたいと思ったんだよと、もう少し前提を説明してあげるとよかったなと思いました。

その意味でも、あらためてビジネスリーダーというご自身の立場や仕事において、マインドフルネスがどのような意味をもってくるか、ぜひうかがいたいです。

コロナ禍ということに関わらず、自分と向き合うことが仕事をしていく上で非常に大事だと思っています。そして仕事は結局、自分で楽しくするもの。そういう私の考えがあって、京都で座禅を組んだときに、(自分の考えを実践していくには)こうやって自分を俯瞰することが大事だという気づきを得ました。
そしてマインドフルネスのセミナーを通して、すごく共通しているなあと感じたのです。自分を俯瞰して、湧き上がっている感情に気づいて、自分にこんな状態が起きるのだというのが、非常に大きな学びでしたね。

渡辺さんのようなリーダーが仕事を楽しんでいるのか、ひたすら結果を追求する姿しか見えないかは、組織に与える影響として大きいような気がします。

私たちのスタンプやインターネットの仕事というのは、広くとらえれば第3次産業で、いわゆる頭脳労働ですよね。この分野では、何時間働いたかより、どれだけ成果を出したかで評価が決まる、へたをすると非常に残酷な結果至上主義に向かう面があります。
しかし集団で成果を上げるためにはプロセスにも目を向けてゆかねばならないという難しいバランスもあります。結果を出せば、はい終わり、ということでなく、周囲と上手にコミュニケーションをとって仕事をすすめることで、会社や集団としてのスケールメリットが出てくるんです。
だからこそ、私はマネジメントとして、時間を管理するというより、サボらないほうが楽しいよということを伝えられるようにしたい。そして最終的にみんなが結果を出し、それを評価できるようにしたいです。
その結果に到達できるプロセスを示すことが、非常に大切だと思っています。そこにマインドフルネスや心理的安全性が関わってくると考えています。


導入後の変化・成果3回呼吸のマインドフルネスで会議が活性化

研修実施後に職場でどんなことを試みていらっしゃるのでしょう。

私が主催する会議のとき冒頭の5分くらい雑談をするのですが、その時間を少し短めにして、オンライン会議のカメラをオフにして、3秒で空気を吸って10秒で履く、みたいなことを3回ほど繰り返すようにしています。また、さらに呼吸を整えるようなことも、たまに実践しています。けっこう議論が活発になったっているのを感じます。

今までは雑談だけだったのに、みなさん戸惑いはなかったでしょうか。

マインドフルネスの体験セミナーによってゼロから1にしていただいたので、こういうことを職場でやるハードルの高さはなくなったというか、土台はできたのではないかと感じています。いきなり私が始めていたら、宗教的に受け止められたり驚かれたりしたかもしれませんね(笑)。その懸念が解消されたのは、非常に大きかったですね。

ぜひビジネスリーダーとしての立場から、我々への注文やらリクエストもうかがえればと思います。

そうですね、マインドフルネスと日常業務のリンク、関わりということを、どう考えていくか、さらに検討していただければと思います。そもそもマインドフルネスって非常に視座が高いですよね。ですから組織の上位レイヤーにとって、その視座の高さを実践することによって、自分や物事を俯瞰することは非常に大事だと思います。
一方で現場のメンバーにマインドフルネスを落とし込んだとき、目の前の問題をどう解決していくかという視点と、どうバランスをとっていくか。それぞれの担当業務やプロダクト、私たちで言えばLINEスタンプという人の感情を使うコミュニケーションがコアにあるのですが、そういう要素とリンクできたらいいなと思います。なかなか難しいとは思いますが。

ぜひ、チャレンジしていきたいと思います。個人的には、現在の私たちのコミュニケーションに深く関わっているスタンプ事業部のみなさまにご縁をいただいたことも、ぜひ一つの契機にしていきたいと思います。
本日はどうもありがとうございました。