市民の心の健康づくりのため、
ストレスの大幅な改善を実現

福岡市保健福祉局 理事中村 卓也 様

導入プログラム
マインドフルネス8週間プログラム
対象階層
医療・社会福祉・教育関係者など市内事業者の従業員300人

Tag

  • メンタルヘルス
  • レジリエンス
  • ストレスマネジメント

Index

導入の背景
市民の「心の健康づくり」のために
導入した感想
『広げたい』『なんとか持ちこたえることができた』などの感想が集まった
導入後の変化・成果
ストレス尺度の大幅な改善につながった

人生100年時代の到来を見据え、誰もが心身ともに健康で自分らしく暮らせる持続可能なまちを目指す『福岡100』プロジェクトを進めるなど、政令指定都市の中でも、独自の、そして、迅速な施策を実行されている福岡市。
とくにコロナ禍において、エッセンシャルワーカーをはじめ、市民の「心の健康づくり」の施策を積極的に実行している福岡市保健福祉局の理事・中村卓也様にお話を伺いました。

導入の背景市民の「心の健康づくり」のために

福岡市の取り組みとして、マインドフルネスを活用した背景について教えてください。

一言で言うと、市民の「心の健康づくり」が課題でした。

具体的に申し上げますと、「健康日本21福岡市計画」という計画があります。その中でいろいろな目標値を定めているのですが、「ストレスのために体調を崩す人の減少」を目標値に掲げています。

例えば、「ストレスのために体調を崩す人の割合」は、平成24年度で、12歳以上の男性は25.9%、女性は40.6%でした。

これを令和2年度までに、男性23%以下、女性36%以下にするという目標値を掲げていたのですが、平成28年度の段階で、男性26.0%、女性39.3%と、ストレスで体調を崩す人が未だに多いという状況が続いていました。

さらに、「心の健康づくり」というテーマがコロナ禍で特に問題になり、先ほどの福岡市の計画の中でもス トレスを感じている人々の割合が改善しないという問題があったので、保健福祉分野の行政課題の解決につながる事業を公民共働で実施するための提案を企業等から募集し、いろんな事業者の方々に提案をしていただきました。

市では、新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、医療・介護の最前線で対応されておられるエッセンシャルワーカーの方々が心身ともに強い負荷、抑うつ度が高まっており、疲弊度が高まっているという問題に対し、精神科医や臨床心理士が対応する心のケアの相談窓口を作ったりしていました。

ですが、どうにもならなくなってから専門家の方々のアドバイスを受けるのではなく、日頃からの(ストレスに対する)自分の心の状態については、朝からの1日の暮らし方だったり、物事の考え方、捉え方だったりについて、マインドセットを変えることも影響すると考えていました。

MiLIさんに、ご提案頂いたマインドフルネスは、そういう部分でエッセンシャルワーカーの方々の精神的な負担感を軽減できるのではないかと思い、マインドフルネスを『福岡100』の一つのプログラムとして、エッセンシャルワーカー の皆さんに体験していただく共同事業を実施することにしました。


導入した感想『広げたい』『なんとか持ちこえたることができた』などの感想が集まった

プログラム参加者の声は、具体的にどのようなものでしたか?

プログラムの最中、また、実施後に、事業者として参加者の方々の様子を伺いました。

一部の参加者の方々と直接話をして、『自分自身が変わったので、もっと職場で広げたい』とか、医療関係者の中では、『病院でクラスターが発生して、精神的にも追い詰められて目が虚ろな状態になっていた参加者の一人が、休憩室でマインドフルネスを実践したところ、普段の落ち着いた状態に戻って、コロナ禍でなんとか持ちこたえることができた』というお声も頂きました。また、教育関係者では、『自分の感情に振り回されなくなった』という感想もありました。

マインドフルネスを実践することがもちろん大切ですが、日々実践ができなくても、こういったものがあると知っているだけでも違うのではないかと思いました。


導入後の変化・成果ストレス尺度の大幅な改善につながった

そういった感想などをお聞きになって、事業主催者としてどんなことを思われましたか

私自身がマインドフルネスを実践して、自分自身の変化を実感してきていたので、『これをもっともっと広めていかなきゃいけない。行政マンとして市民の方々に広めていかなきゃいけない。』という想いを強くしました。

今回の取り組みの検証データは、しっかりMiLIさんに取っていただきました。一番高く成果が出て欲しかった精神健康度、ストレスの尺度の部分につきましては、医療介護の方々、教育関係者の方々、民間企業の方々、いずれも大幅な改善につながったということが、このプログラムで出ましたので、これは本当にやって良かったなと思いました。

もちろんプレゼンティーズムの改善だとか、マインドフルネス度、ウェルビーイング度などの指標についても改善が見られましたので、もっともっとひろがるといいなと思っています。

今回取り組んでいただいたオンラインでの8週間プログラムについての感想はございますか?

オンラインで8週間全てやったということは、まさにコロナ禍での新しいチャレンジでした。

リアルならその良さが当然あるわけですが、やはりコロナ禍での制約条件がある中で、オンラインで8週間続けてプログラムが実践できたことについてはすごく良かったと思います。

これは是非パッケージにして、当然我々も何らかの方法で続けていきたいなという気持ちもありますし、民間で今回参加された事業者の方々、あるいは、関心がある事業者の方々には、ぜひ導入をお勧めできると思います。

それから、オンラインならではの良さというのも実はあったと思います。どこにいても参加ができる、あるいは、その時間どうしても参加できなかったという方でも、後から録画でプログラムが確認できます。

そういった意味では比較的導入しやすいのではないかなと思います。今回のプログラムに参加して実践された方は、何らかの課題を抱えておられて参加されており、同じような課題を抱えている方には、『8週間経ってみてこういうことだったのか』と、良さに気づかれると思います。

未だにマインドフルネスって何だろうと思われたり、瞑想とか、何か宗教っぽいなどの理由でとっつきにくいと思われている方々、自分とは関係ないと思われている方々もいらっしゃると思います。

すぐに成果が現れるものでもないし、すぐに形になって見えるようなものでもないので、その広げ方が難しいと感じています。しかし、我々としても、市民に対して、いきなり深く関心のある方だけ本格的に実践するというよりは、こういったものがあるんですよっていう存在をしっかり PRして、まずはお試しでさわりの部分だけでも、体験してみたいなという方々が学べるようなものをつくっていけたらいいなと考えています。