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それは、不安遺伝子の仕業だと気づくときが来た

2014年05月10日

先日、向源―KOHGEN―という若手僧侶たちの主催するイベントで、

気鋭の脳科学者、中野信子さんの話を聞く機会がありました。

とても興味深かった話の一つが、

心配性で、慎重で、変化を恐れる日本人・・・を裏づける脳の仕組みについて。

「日本人は1から100へと積み上げていくのは得意だけど、

0から1をつくるのは得意じゃない」(中野さん)。

 

これは脳の神経伝達物質の一つで、

精神の安定や安らぎをもたらすセロトニンに関係しています。

より正確には、「セロトニントランスポーター遺伝子」という、

セロトニンの分泌量を調節するタンパク質(セロトニントランスポーター)

をコントロールする、遺伝子の特徴に由来します。

この遺伝子についての研究論文を調べると、

1996年11月の「サイエンス誌」で画期的な発表があり、

その後、遺伝子と神経質傾向の程度に関する報告や、

一般向けの記事が相次いでいます。

3年ほど前にNHKでも、

「不安遺伝子」という表現で日本人の特徴が国際比較で紹介されていました。

 

日本人が心配性であるという脳科学的な理由は、

神経質傾向の強いS遺伝子と呼ばれる セロトニントランスポーター遺伝子を持つ人が、

〝世界で一番多い〟ことです。

ちなみにS遺伝子のほかにL遺伝子というものがあり、

人は自分の両親から一つずつどちらかの遺伝子をもらいます。

つまり、我々はSSタイプ、SLタイプ、LLタイプの3つのうち、

どれかに当てはまるわけです。

Sのほうが神経質傾向は強いので、心配性な人を遺伝子配合順に並べると、

①    SSタイプ(日本人:68.2% アメリカ人:18.8%)

②    SLタイプ (日本人:30.1% アメリカ人:48.9%)

③    LLタイプ (1.7% アメリカ人:32.3%)

となります。

なんとも驚きの日米の違い。

 

またS遺伝子を持つ人の割合を人種別にみると、

多い順に黄色人種、白人、黒人となっています。

日本を含む東アジアの人々は、もっとも不安遺伝子を多く持っています。

それでも地域平均は約90%で、

日本人の98.3%(SSタイプ68.2%とSLタイプ30.1%の合計)は 突出しているのです。

 

そこで話を、中野さんの言葉にもどしましょう。

「1から100へと積み上げていく」・・・ 決まった道筋に沿って改善をつづけていくような経営、

働き方などが、ここに当てはまります。

それに対して、日本人が苦手とする「0から1をつくる」・・・は、

まったく新しい価値を打ち立てるような経営、働き方ですね。

 

では、不安遺伝子の多い日本人は、改善よりも変革を求められるような、

歴史の大転換期においては不利なのでしょうか。

 

私は、ほうっておいたら不利に違いないと思います。

しかし、自分の特性を理解し、 特性によって生じる感情に気づく力を鍛えれば、

不利にはならないとも思います。

今までの経営のあり方が、仕事の仕方が、あらゆる価値観がさび付き、ひび割れている。

「変化」を口にしながらも、未開の地や行き止りの断崖絶壁で、

胸がギュウギュウと音を立てて締めつけられるようなプレッシャーを感じている。

早くなる脈拍、みぞおちのザワザワした感覚。

それらを、しっかりと解像度の高いレンズでとらえれば、

すべては無常であることがわかります。

それが「自分」なのではなく、ただの通過していく現象であるということが。

 

もしかすると、多くの日本企業、日本人にとってのマインドフルネスは、

欧米人のそれとは、まったく異なる文脈から必要とされるのかもしれない。

わたしの中で、そんな思いが芽生えてきます。

アグレッシブに突き進む過程での鎮静作用としてのマインドフルネス。

動けない恐怖と不安を、穏やかに受容するマインドフルネス。

対照的なスタート地点から、一つのまだ見ぬゴールに向かって。

 

2013108680593

 

不安遺伝子が心にしでかす仕業を、やさしく受け止めてみよう。

 

そして、静かにそっと、心のザワザワを観察してみよう。

やることは、ただ、それだけ。

そのとき、 日本人の中に眠っているエル・ドラドの黄金が、

ふたたび輝き始めるのかもしれません。

 

(てんせい)

 

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