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マインドフルネスのROI(投資効果率)は?「マインドフルネスが職場にやってきた」

2016年05月24日

Corporate-Meditation

「マインドフルネスはソフトスキルだから、導入は稟議が通りにくい」

「ROIが得られないから、マインドフルネス導入は考えていない」

弊社でも、よくこのようなコメントを企業担当者様から受けることがあります。

しかし、いわゆる「ハードスキル」の研修をいくらしても、ストレスや忙しさで心がざわついていては、そのスキルを使いこなすこともできません。
心のつぶやきを聞き取り、自分の状態を理解し整えるスキルが、全てのスキルの基盤であることに徐々に企業が気づきつつあります。
また、強制ではなく任意(手挙げ式)の希望者の参加にしたほうが、効果的である、というのも弊社で日本の企業様に導入したフィードバックと同じです。
そして、下記の記事のように、実際に導入したダウ・ケミカル、AETNA(エトナ保険)など大企業で、ROIの検証も勧められています。

マインドフルネスのROIについて、キム・エイキンスによる記事「Mindfulness Goes to Work:マインドフルネスが職場にやってきた」を紹介いたします。

原文はこちら: https://www.td.org/Publications/Blogs/Learning-Executive-Blog/2015/04/Mindfulness-Goes-to-Work

(ぼくらしゃふぇきみこ)

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マインドフルネスのようなソフトスキルは、大小の企業で社員のストレス低減や生産性増加に、どう効果を発揮するのだろう? 今日では、その効果を証明する膨大な量の研究が、ハーバード大学、カリフォルニア大学ロサンゼルス校、スタンフォード大学、ウィスコンシン大学マジソン校、そのほかの研究機関で、マインドフルネスは脳をより良く変化させられると結論づけている。

実は、マインドフルネスの実践は、「心の筋肉」を鍛えるためにジムへ行くようなものだ。研究によると、マインドフルネスストレス低減法(MBSR)に参加した人の脳は、EEG(脳波測定装置)で脳波の変化を示したり、脳のワーキングメモリ(理解、学習、推論など認知的課題の遂行中に情報を一時的に保持し操作するためのシステム)、学習、注意力、共感、ポジティブな影響をつかさどる「灰白質」の密度の上昇がMRIで確認された。

MBSRは、もともとジョン・カバット・ジンが、マサチューセッツ大学で開発したマインドフルネスと緩やかなヨガを教える8週間のプログラムである。MBSRと一般的にいうマインドフルネスは、ストレス、不安、ADHD,うつ、慢性的な痛みなどを抱える人々の回復支援のため、今や国内の250以上の病院で教えられている。

過去数年の間に、マインドフルネスプログラムは、作業パフォーマンス、レジリエンス、ウェルビーイング(心身の健康)、生産性、リーダーシップ能力の向上に関するポジティブな効果データを携えて、ビジネス界へも進出する方法を見つけ出した。

今や職場は、絶えずせわしなく、早いペース、マルチタスクになりがちで、自分の心の動きや自分自身に語っているストーリーに気づくことはほとんどない。マインドフルネスは、過去に起こったことに振り回されずに、あるいは、将来何をすべきかに惑わされずに、実際に今ここで起こっている事柄に注意を向ける能力を強化する心のトレーニングの方法である。これにより、経験そのものを、評価・判断しないでそのまま気づきとして受け入れて、オープンさと客観性を育むことにもなる。また、ストレスに直面したときの回復力や耐久力の向上にもつながってくる。

ストレスは、多くの場合起こった事柄そのものの大小ではなく、自分がその事柄についてどのように意味づけをしているかによってくる。ストレスに関する研究で明らかな結果となっているのは、過度のプレッシャーは反対にパフォーマンスを下げうるというのだ。例えば、出勤し、山積みになった書類の山がデスクから床に崩れ落ちるのを見て、「ああ、もうこの量には圧倒される。今晩は家に帰れそうにない。どうしても今日中に終わらせなくては」とあなたが心の中でつぶやくと、心拍数が上がり胃がキリキリするといった、大きなストレス反応を引き起こすだろう。

その結果パフォーマンスや仕事の効率低下を招きやすい。しかし、あなたの心のつぶやきが「すごい仕事量だな。多分今日中にすべてを終えることはできないかもしれないけど、出来る限りのことをすれば大丈夫だ」とすると、集中してリラックスした状態のままでいることができ、より良い状態で仕事ができるだろう。

現実的には、自分の心のつぶやきや、それが及ぼす影響について、我々が気づくことはまれだ。もしそうでないと思うなら、このシンプルなエクササイズを試してみるとよい。タイマーを5分間セットし、10を数える。10までいったら、また1まで戻る。どうだろう、この作業を10分間続けるのは簡単だろうか、それとも集中できないだろうか?好奇心を持って自分の心がどう動いていくのか観察してみよう。多分、こんなシンプルなエクササイズが、どれほど難しいかと驚かれたのではなかろうか。集中したマインドフルネストレーニングは、絶えず流れている「内なる対話」に、より気づかせてくれ、また、精神の健康、集中力、ウェルビーイング(心身の健康)の向上のための具体的ツールを提供してくれる。

ミニ MBSR(マインドフルネスストレス軽減)プログラム
ミニ MBSRプログラムを職場で使うことについて障害となりうるのは、時間の確保だ。典型的なMBSRプログラムは、専門の講師による約30時間のトレーニングと、加えて毎日自宅で30分から45分の実践が要求される。職場でのマインドフルネスを実行可能にするために、我々は実際の参加形式またはオンラインでできる短縮版のプログラムを開発した。

2012年にダウ・ケミカル社で調査され、『Journal of Occupational and Environmental Medicine(職業と環境医学ジャーナル)』でも取り上げられたこのプログラムは、オンライン上の教材を活用した双方向のオンラインセミナーだ。この簡易版マインドフルネスプログラムでは、研究の主目的だった、社員のマインドフルネス、ストレス認識、レジリエンス、活力、仕事へのエンゲージメントにおいて、目を見張る成果が測定された。加えて、それらの測定値は6か月後のフォローアップ調査においても、継続、または改善がみられた

主な改善は以下のとおり

  • 自己認識しているストレスレベル   30パーセント低下
  • 高いストレスを感じた回数      50パーセント低下
  • レジリエンス(回復力)       13パーセント向上
  • 職場のエンゲージメントと活力    15パーセント向上
  • 燃え尽き症候群          50パーセント低下
  • 食事の選び方          統計的に有意差のある改善

これらの変化は比喩的にも文字通りにも「ボーナス」となった。社員の燃え尽きの減少は、職場の生産性の最大20%向上に相当した。この効果が持続すると仮定した場合、この調査に参加した社員の平均給与をもとに試算すると、1年に1人の社員あたり22,580ドル(約250万円)の経費を削減したことになる

成功を表すもうひとつの指標が、参加者のストーリーだ。私が好きなストーリーのひとつは、しょっちゅう大事な機材の故障に悩まされているある研究室のマネジャーの話だ。ある休日、機材が故障し修理された。ただし、すぐに2回目の故障が起き、研究室を閉めざるを得なくなった。

その調査に参加したダウ・ケミカル社のマネジャーは次のように言っている「マインドフルネストレーニングのおかげで、機材の故障は、『その時点でのある経験』としてとらえるこができました。その機材がまた故障したとき、イライラしたり怒ったりしないで、私は落ち着いて、客観的でいられました。修理の人が来たとき、彼は故障について誰も彼に怒鳴ったりしなかったので驚いていましたよ。誰にとってもそれは、以前よりも良い経験だったと思います。」

もう一人のダウ・ケミカル社の参加者は、「職場でマインドフルネスを知っていて良かったことのひとつに、他人を認めたり、体系的なフォーカスについて実践できたことです。もしこのエクササイズを知らなかったら、きっといまだに自分が関係していることすべてについてストレスに埋もれていたに違いありません。自分の影響の及ばないことに気づいて、悪影響になることについては無視することができることは、本来やるべきこと集中できます。また、対人関係も改善されたことに気づきました。これって、一般的に『受け入れの幅が広がった』ということなのでしょうか、それとも『自動的判断』をやめたということなのでしょうか?」

もうひとりの参加者は、「マインドフルネストレーニングは、集中すること、落ち着くこと、過去や将来を心配するのではなく『今この瞬間』に意識を持ってくることを教えてくれました。加えて、自分の頭の中に自動的に沸き起こるネガティブな感情に気づくことで、コントロールし、それらを脇において、幸せのためのスペースを増やすことができるようになった。」と言ってくれた。

これらのダウ・ケミカル社での強力な調査結果を受けて、私はエグゼクティブには、CMO:チーフ・マインドフルネス・オフィサーが必要だと思った。私たちの調査で社員のマインドフルネスの向上はポジティブな変化を生み出すことがわかっている。ビジネスの観点から言えば、こういった変化は、人のパフォーマンス向上にとどまらず、すべてのビジネスの業績向上につながる多大なる可能性を秘めている。

試してみれば?
これらの文献で、活力や仕事へのエンゲージメントは、個々の業績や、仕事の満足度、組織へのコミットメント、離職率の低下を生み出すことが明らかになった。研究ではまた、レジリエンスまたは困難な状況や経験から立ち直る能力も、個々の業績、組織へのコミットメント、組織の一員としての行動に良い影響を与えることがわかっている。

組織全体にマインドフルネスに取り組むには、企業文化に与える良い影響やウェルビーイングといった明確な理由がある。私が思うに、マインドフルネストレーニングを組織に導入するにあたって一番大きな抵抗となるのは、コンセプトがまだ新しすぎることと、「マインドフルネスやレジリエンスじゃ、ソフト過ぎる解決法」という見方だ。
加えて、マインドフルネストレーニングに対する投資効果は測定が難しい。なぜなら、それらは職場カルチャーの改善や社員のウェルビーイング向上、または人々のパフォーマンス向上といった財務インパクトの測定が困難なものだからだ。しかし、マインドフルネスプログラムを導入したエトナ(Aetna)社は、その効果を一人の社員あたりの生産性が1週間62分向上し、年間一人当たり3000ドル(約33万円)のコスト削減に相当すると試算している。

時給で働く工場労働者などに対する、自動化されたマインドフルネスとレジリエンスのプログラムに対する関心も高まっている。企業も安全管理の問題に役立つプログラムを欲している。マインドフルネススキルは、社員の心が散漫にならずに集中できるよう改善し、安全管理に役立てられる。

マインドフルネストレーニングは、プログラムに強制的に参加させられるよりも、任意で参加した人に一番効果的だという傾向がある。また、大きなストレスがかかり、柔軟性が持ちづらい、例えば病院の救急処置室や集中治療室といった職場環境でも大変効果的だ。マインドフルネストレーニングは本当に、個人の人生やキャリアに大きなインパクトがあるのだ。仕事をしに来るのは(一部ではなく)常にその人の全てであり、マインドフルなレジリエンス(回復力)は全人的な強化につながるという観点から、組織にとっても有益なものといえる。

マインドフルネストレーニングの職場導入に関して妥当性を持たせるためには、「マインドフルネス」「レジリエンス」「気力」が、人間の健康やパフォーマンスにどのようなインパクトを与えるかについて、リーダーが基礎知識を持つことがきわめて重要だと私は考えている。まずリーダーは、個人あるいは少人数グループで、マインドフルネスを取り入れたたエグゼクティブコーチングを受けると一番良いと思う。こうしてより良く理解をして、それからこのコンセプトを組織にどのように浸透させるかを決められるからだ。

著者について

Kim Aikens キム・エイキンス博士は、アリゾナ大学の統合医療分野の内科医として奨学金を受けて研究に従事。その心と体の研究をきっかけに、マサチューセッツ大学にてマインドフルネスストレス低減法トレーニングの講師資格の勉強を継続。その後、The Aikens Approach(エイキン式マインドフルネス)を設立して、企業に向けてマインドフルネス、レジリエンス、リーダーシップ開発トレーニングを提供している。ミシガン大学RossビジネススクールでMBAを取得、またマイアミ大学にてエグゼクティブ、リーダーシップコーチングのトレーニングも受けている。

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