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マインドフルネス・コンパッション・神経科学のこれから:ZEN BRAIN報告(その3神経科学・エピジェネティクス最前線)

2017年06月14日

Richard J. Davidson, director of the Waisman Lab for Brain Imaging and Behavior (WLBIB) at the University of Wisconsin-Madison, is pictured at the Waisman Center on June 5, 2008. Davidson is also the William James and Vilas Professor of Psychology and Psychiatry. ©UW-Madison University Communications 608/262-0067 Photo by: Jeff Miller Date: 06/08 File#: NIKON D3 digital frame 2878

2017年5月18-21日に、米国サンタフェのUPAYA禅センターで開催されたZEN BRAINご報告(その3)は、神経科学の大家、リチャード・デビッドソン博士です。

TIME誌で「世界で最も影響力のある100人」にも選ばれる。そのデビッドソン博士から、大きく4つの報告がされましたので下記にご報告いたします。

今回のZEN BRAINでは、デビッドソン博士を始め、登壇者の皆さんも朝の坐禅から夜のディスカッションまでずっと同席し、学びを共にしていきます。朝6時半から夜9時過ぎまで、共に瞑想し、共に学び、時にはともに感動の涙を流しました。学識者とあっても、この場では一人の人間として同じ立場である、という伏線となるメッセージが伝わるようです。

このあたりもハリファックス博士の考えや、登壇者の皆様の謙虚なあり方が伝わって、つながりを感じる場づくりとなりました。皆で呼吸を合わせながら瞑想をすると、場の雰囲気もさらに高まりますね。

MiLIの活動は、リーダー・ビジネス・組織の変革から、社会の繁栄(Thriving)を導いていくことです。

ビジネス界から少し視点を変えて、世界と人間について考えることも、リーダーの見識にお役に立てれば、という意図のもとZEN BRAINその3もご参考にしていただければ幸いです。

(ぼくらしゃふぇきみこ)

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【ZEN BRAINとは】文化人類学者・禅僧・社会活動家であるUPAYA禅センター主管ジョアン・ハリファックス博士により毎年開催され、今回は10回目となる。

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ハリファックス博士に賛同するトップレベルの神経科学者、宗教哲学者、医療倫理学者、平和活動家らによりマインドフルネスとコンパッション(根源的思いやり)のインパクトとその科学について、学際的な最新の叡智が語られる、世界でも数少ない場である。

【リチャード・デビッドソン博士 ウィスコンシン大学神経科学教授 センターフォーヘルシーマインド所長】

下記、一般的な事実としてではなく、そのような研究結果が特定のリサーチで出たということでご理解ください。まだまだ研究の数自体が少ない分野なので、決定的な表現には至っていないのです。

デビッドソン博士よりは、瞑想とコンパッションに関連した4つの報告がされました。

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なぜこの分野で科学的検証が進んできたか?――4つの要素が合流

  1. 神経可塑性neuroplasticity の仕組みが解明されることにより、脳の機能や構造について、自己管理できる部分があることが判明。自分の思考や行動をかたちづくり、感情の管理にに対して、自己責任で行える部分が多くあると言えるようになった。
  2. エピジェネティックスと瞑想の関連があることが分かってきた。(KB注:エピジェネティクスとはDNA塩基配列の変化を伴わない、遺伝形質の発現の操作・変化についての科学。例)乳がんを発症しやすいDNAを持っていても人によって実際に発症する場合とそうでない場合があり、その違いを生む要素を解明する、など。もともとの遺伝子構造は変えられなくても、そのポジティブな影響を引き出し、ネガティブな影響を管理することと、マインドフルネス瞑想との関連を探求しているのです。)

下記の調査は、DNAのメチル化(メチル化した部分の遺伝形質は発現しにくくなる)を調べた結果の推測:

・8時間のマインドフルネス瞑想でエピジェネティクス的変化がみられた。

・妊娠第二期の妊婦が瞑想を行うことで、その赤ちゃんだけでなく、さらにその子供まで数世代にわたる健康への良好な影響がみられた

3. 心身の相互性――脳↔心の働き↔体、この3つが密接に影響し合っていることが検証されてきたから。例)喘息患者の発作=炎症反応がマインドフルネス瞑想によって改善された

4.人には生まれつきの善良さや社会性がある。生後6か月の赤ちゃんの観察で、95%向社会的行動を好むことがわかった。
人間の本質として何があるか、それによって静観・瞑想の役割は変わってくるはず。人類のサバイバルの上でも、人の助けをしたいという向社会的行動は、赤ちゃんの時から持っているとするなら、私たちは反社会性を何らかの理由で学習しているともいえる。

 神経科学的に調査された心身の健康(ウェルビーイング)4つの構成要素を発表。

神経科学をさらに生かして、人々の心と体の健康を目指すという取り組みはますます進んでいる。ここでも、マインドフルネスに代表される、「認知力とメタ認知力の両方を高めること」はEQの基盤であることは、SIYでもお伝えしているが、ウェルビーイングの基盤ともなることを提唱している。

  • 認知力--認知力・メタ認知力の両方

UCサンタバーバラ、Jonathan Schooner, Benjamin Bairdらの調査によると、2週間のマインドフルネス瞑想によって、メタ認知力がコントロールグループに比べて高まった。

  • つながり(Connection:人間と、または人間以外の動物と)による感謝の心、コンパッション、優しさ

6週間の愛ある優しさの瞑想(Lovingkindness Meditation)で、暗黙の差別的バイアスが減り、心理的なストレスも下がった。

  • 落ち着いた心から浮かぶ洞察力・識別力―思考で作ったストーリーと現実を識別する力

マインドフルネス瞑想の実践で、反射的な自己判断をいったん保留することができるようになり、それがさらに習慣化できる。

  • 目的意識・大義

お年寄りに対して、生きる意義や目的を持つ人とそうでない人を比較したとき、目的や意義を持つ人のほうが長生きであった。

★上記①-④を盛り込んだ授業を今年秋から3つの大学で新入生に教え、その後の身体的、社会的、心理的追跡調査を開始する。マインドフルネスとコンパッションの本格的追跡調査となるようで、今から楽しみです!結果が出るのは、これから10年、20年と先になるでしょうが。(笑)

マインドフルネストレーニングとアンチエイジング(KB心の声:むむむ!)

エピジェネティクス的にも、また脳年齢の両方で見ても、長期にわたる瞑想実践者は平均よりも若いことがわかり始めた。ただし、この調査での被験者の累計瞑想時間は9000時間と相当長い。毎日30分やって55年かかります!!今日からご一緒にやりましょう。(笑)

NEWS! こうご期待!

  • 著名なデザイン会社IDEOと共同開発で、マインドフルネスとウェルビーイングを高めるデバイス開発中。まずは教育者向けに試験使用する予定。
  • これまで測定できなかった、神経の炎症を測定できるようになった。神経の炎症は、認知症などの原因の一つと考えられてきたが、その測定ができるようになることで、瞑想の脳の抗炎症効果などが検証できるようになる。(KB追記:「マインドフルネス瞑想で認知症が治る」などの記事は推測に基づくものです。今回、神経の炎症の測定ができるようになったことで、今後の研究に期待しましょう。)

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研究者としても、センター所長としても多忙なデビッドソン博士。

「毎年必ず参加する学会はこのZEN BRAINだけ」と言うほど、彼にとっても大切な場であり、老師との良き関係がうかがわれます。

「マインドフルネスの科学的検証は、もっともっと精査と信頼性を高める必要があり、まだまだ改善の余地ばかり」「自分でも、これはいい!と思えるリサーチのいくつかは、『マインドフルネス瞑想は効果がなかった』という内容のものもある」という、彼の妥協のない姿勢こそが、この分野で必要とされているのだと、改めて尊敬を感じました。

まだまた続くZEN BRAIN、次は主催のハリファックス博士ご自身の発表です。

ZEN BRAIN報告その1エヴァン・トンプソン博士 文化・認識論学者「科学の倫理」はこちら

ZEN BRAIN報告その2ロンダ・マギー博士・弁護士「マインドフルネスと公平な社会」はこちら

 

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6月18日(日)新企画!働くママ・パパのためのマインドフルネス@東京

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6月23日(金)マンスリーMiLI@東京

「マインドフルワークのススメ」
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今月は代表荻野による、職場でのシーンごとのマインドフルネス実践法のご紹介。
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7月1日(土)マインドフルネス×DiSC
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マインドフルネスで気づきの筋力を養い、アップデートされた最新版DiSCで得られる
情報を読み込む。
先の米国でのカンファレンスでもWiley社の幹部(DiSC開発元)の講演で、
マインドフルネスが話題に上りました。DiSCというグローバルなツールを最大限に活用し、
マインドフルなアクションプランを描く・・・実験的なワークショップです。

※事前オンラインアセスメント付(MiLI理事、吉田の個人会社ドリームコーチ主催)

詳細、お申し込みはこちらから http://peatix.com/event/254568 

 ◆7月21日(金)マンスリーMiLI@東京
7月17日(祝日)マインドフルリーダーシップセミナー@福岡

「マインドフルネス最前線 ZEN BRAINご報告」

仕事帰りに最新の学びとマインドフルネスの実践をお伝えする、月例勉強会マンスリーMiLI。

7月は当ブログでもとりあげたZEN BRAINとコンシャスリーダーフォーラムのご報告。

7月17日福岡の詳細・お申込はこちら http://mindful-leadership.jp/seminar/0614-2486/
7月21日東京の詳細・お申込はこちら http://mindful-leadership.jp/seminar/0614-2491/

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【福岡会場】11月3日(祝/金) 4日(土)

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1月はMiLIのメンターでもある藤田一照老師によるイマーション開催のため、今回が2015年の初マンスリー。長年エグゼクティブコーチ、組織コミュニケーション開発に携わってきた吉田が、マインドフルネスを...もっと読む

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