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リーダーシップ

慈悲をもって働く

2015.05.06

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右から2番目、ジョアン・ハフリファックス老師

左、アンソニー・バック教授(ワシントン大学)

右、シンダ・ラシュトン教授(ジョン・ホプキンス大学)

 

 

日本人でありながら、

慈悲という言葉についてこれほど深く考えたことは、

今までなかったと思います。

4月24日~26日、奈良の長弓寺で開催された

『GRACEプログラム201

5~Putting Compassion into Practice(慈悲を実践する)~』

に参加。

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ジョアン・ハリファックス老師の、

存在そのものから現れてくるものこそがCompassion=慈悲でした。

 

老師は人類学者として教鞭を取りながら、

40年以上にわたり、死を迎えつつある終末期の人々のケアや、

ケアに携わる専門家の教育にあたってきた方。

ここではGRACEプログラム自体の内容ではなく、

プログラムの言わば根底に流れる精神であり、

かつ私からみれば老師の存在そのものに思える

Compassion=慈悲という言葉に触れてみたいと思います。

 

当初、私個人にとってはカタカナ的に刷り込まれている

〝コンパッション〟と慈悲という言葉が、

しっくり接合されませんでした。

しかし老師の理念や実践について学んだ上で、

あらためて意味を確認してみると、

コンパッションではなくCompassionの、

まさに慈悲につながる深みを受容できるようになりました。

 

Compassionと似ているようで違うのが、SympathyやEmpathyです。

これについては、とても分かりやすい解説がこちらのサイトに出ています。

 

要約すると、Sympathyは「他者の痛みや苦しみに同情を寄せる思い」だが、

それは他者の状況に対する思いで、

「自分と他者の間には感情的な距離がある」といった説明がされています。

昔、子役時代の安達祐実が人気ドラマで言った名セリフ

「同情するなら金をくれ」の、あの情動が、なんだかリアルに蘇ってきたような。

「ときとしてSympathyはpity(哀れみ)の中にあり、

そのような場合には注意が必要だ。この〝哀れみ〟は人間性を損なう感情である」

そして、「より他者との深い関係性や理解のためにはEmpathyが必要」

だと説明され、Sympathyとの違いを次のように定義しています。

「Empathyは他者が経験している苦しみや痛みを、

自分自身の経験として受け取ることのできる能力である」――。

そう、「同情するなら金をくれ」――のSympathyにあった距離感がなくなるのです。

とはいえ、他者と全く同じ苦しみや悲しみを経験する必要はなく、

ただ他者の状況の中で感じていることを現実的に(経験するくらい)

想像する能力をもつ必要がある」

 

Sympathy ― feeling sorry for another’s hurt

Empathy ― walking in another’s shoes

英語文化で育っていない音痴な私でも、

この説明はクリアに感じられます。

そして、なんと適当にカタカナ言葉としてインプットして

微妙なニュアンスを知らないまま先入観に包まれてきたかも痛感。

 

さて、そこでCompassionです。

「Empathyが他者の思いをリアルに(自分のものとして)

経験する能力であるとするなら、

Compassionは感じたことを行動に変容させていくものである」

ここで老師との奈良でのやり取りが蘇ってきます。

EmpathyとCompassionを微妙に異なる概念ととらえるのではなく、

Empathyを包含したものとしてCompassion=慈悲を理解すればよい・・・と。

 

Compassionとは、

・他者の体験に気を配る能力

・他者を気づかうこと

・何が他者のためになるかを感じ取ること

・潜在的にでも奉仕することができること

 

他者に共鳴しながらも(これはEmpathyだが、これだけでCompassionではない)、

しっかり自分の意図をもち、何が役に立つのかを考え、行動する――。

それこそが、老師が命の現場で実践しつづけてきたCompassion=慈悲です。

 

老師が慈悲について脳科学が解明していることについても述べている、

こちらのTED TALKもお勧めです。(日本語訳あり)。

学者としての一面もうかがえる素晴らしい内容。

 

慈悲深い人は、

悲しみに暮れているときに他の多くの人よりも大きな苦しみを感じるが、

レジリエンス(回復力)が高い。

そして慈悲を養うことで脳神経の統合が促され、免疫システムを高めてくれる。

悲しみを悲しみとして、痛みを痛みとして、そのまま感じ取る。

それは大きな衝撃ではあるけれど、それが人を消耗させるのではなく、

強さ、活力につながるというのが、科学的な説明です。

 

そして私自身は、科学的な納得性さえも超えて、

目の前にいる(食事も共にさせていただき)老師のプレゼンスを通して、

その真実を受け取ることができました。

 

老師はTED TALKのなかで、

「こんなにも慈悲が素晴らしいものなら、慈悲をもって子どもを育てよう。

医療従事者に慈悲を身につけさせよう。慈悲にもとづいて投票しよう・・・」

―― と話しています。

 

そしてこのCompassion=慈悲が、

ビジネスのリーダーシップでも言及されるようになってきました。

 

カタカナで〝コンパッション〟と喋るほうが、

日本のビジネス現場において勇気は少なくて済むでしょう。

しかし私は今、個人的にはとてもとても、

慈悲をもって働く――という言葉に触発されるのを感じています。

 

(てんせい)

 

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