マンスリーMiLIスペシャル報告~グーグルのマインドフルネス・コミュニティの創り方~
2015.12.05
去る11月27日マンスリーMiLIではグーグル本社より、社内マインドフルネスコミュニティ「gPause(ジーポーズ)」のコーディネーターの一人であるニナ・キムさんを迎えて、「グーグルのマインドフルコミュニティの創り方」というテーマをお話ししていただきました。
私自身、ニナさんの運営の元、グーグル本社でgPauseのランチタイム瞑想や茶道体験をファシリテートさせていただき、その地道な活動ぶりと彼女の謙虚な中にも情熱あふれるリーダーシップに感銘をうけ、ぜひ日本でということで彼女を招聘したのでした。
会場は70名満席の参加者で、マンスリーMiLIに初めて来てくださった方も半数以上にもかかわらず、和やかな雰囲気の中始まりました。
まずニナさんからgPauseについて紹介:
- 全世界のグーグル社内44カ所に拠点を持つ瞑想とマインドフルネスの実践コミュニティ
- 2013年発足し、グーグル社内で最も人気のあるSIY(Search Inside Yourself)プログラム参加者の、その後の実践の受け皿ともなっている
- 各拠点でランチタイム瞑想、マインドフルランチとディスカッション、各種講演会やイベントをメンバーに対し実施
- 全て社内ボランティアによって運営され、ニナさんのようなコアとなるコーディネーターが各拠点の企画・運営を行う
ニナさんが運営するgPause Alzaというグループは、登録メンバーわずか2人から1年で150人までに増やし、gPauseの44のグループでも最も活発とされています。グーグルだから、余裕のあるオープンなアメリカの企業だから、自然にそうなるんじゃない?と思ってしまいますが、実は次のような障壁を乗り越えてきているのです。
- 忙しくて、しかも理系のエンジニアが多いグーグルでは、メディテーションやマインドフルネスは時間がない、理論的でなさそう(でも実は科学的根拠が増えている)だから猜疑心を持つ、など一人一人を説得するのは大変。
- 会社からの活動のための資金提供は、参加者のメディテーション20分あたり50セント(約60円)が非営利団体にグーグル社から寄付されるのみで、活動資金の補助は0円。
- 会社から、特にgPause参加への賛同や奨励はなく、個人のリーダーシップとボランティアにのみ支えられている。
など、一般的な日本企業と悩みはとても似ています。
素敵な場所で、たくさんの人がかっこよく瞑想しているーーなどのイメージを持たれるかもしれませんが、実際は本当に地味で地道なのです。
- ニナさんのgPause Alzaの1回のランチタイム瞑想の参加者平均は8名。ほかのグループ平均は4名。最大集まった会で16名だった。
- 会場はいつも普通の会議室など利用し、特別なスペースは通常与えてもらっていない。
ランチタイム瞑想(11時35分から20分間)の様子と、その後のランチはこんな様子です。
「会社全体から考えたら、失礼ながら本当に小さなグループですが、道のりが遠くてやる気を失うことはないのですか?」
という質問に対し、ニナさんは、
「組織全体何千人、何万人のことを考えるのではなく、私は今出会っている1人にどう参加してもらえるか、継続してもらえるかを大切にしています。そして、その人が加わってくれたら、また次に出会う人、次に出会う人、という風に一人ひとりに確実に理解してもらい、お役に立ち、協力者になってもらう。それが草の根を拡げる鍵だと思います。」
gPause Alzaの具体的な活動を知らせるポスターをオフィスのトイレやカフェテリアに起き、メンバーには活動外でも名前を憶えて挨拶をし、メンバーから寄せられる質問はいつでも歓迎し、毎日11時30分にはいつもの会議室で出迎える準備を粛々と続けるのです。
つまり、そこには華々しい栄光はない。
それでもなぜニナさんは、1年半以上情熱を持ちやり続けられるのか?
「私は700人以上の部下を世界中に持つ重役の、事務管理パートナーをしていて、日々メールやリクエスト、様々なやり取り・調整で燃え尽きそうになった2年前、SIY (Search Inside Yourself)というマインドフルネスの研修を受け、人生が変わる経験をしました。
以来仕事の効率が上がり、ストレス管理もずっと楽にできるようになったのです。SIYの研修が終わっても自分で実践を続け、ますますその重要性を確信し、gPuaseのボランティアリーダーになりました。
gPause Alzaの仲間が増えて、一人でも多く同じように大量のチャレンジで燃え尽きそうな人がそれを乗り越えるお手伝いをしたい、それは今も強く思っています。」
成功するコミュニティづくりの秘訣は、コミュニティのすぐそこにいる一人一人を大切にしていくこと。自分自身の経験と実践の深さがそこにはあること。参加者の皆さんがここで真剣にメモを取っておられます。
「グーグルというと優秀で成功した人たちの集まりというイメージがあるかもしれません。しかし、多くのエンジニアはシャイで人間関係の悩みや、才能ある人同士の競争や時間に追われる日々など、ストレスも多く抱えているのです。」
やはり、「グーグルだから、、、」という外部からの思い込みが、ここでも覆され、実は日本企業の内情と多くの共通点があることが浮かび上がります。
わずか2名から150名の登録メンバーに増やすことができた理由として、ニナさんは現場に根付いた、日本企業にもあてはまる多くのヒントを伝えてくれました。
- 同じ時間、場所で安定・安全・ウェルカムな場を作る
- 参加者には、感謝、感謝、感謝の気持ちを伝える
- マインドフルネスの実践が、個人、仕事、そしてコミュニティや世界のためにも意義あることを伝える
- 毎年1-2回参加者サーベイを行い、参加者の期待・意見を反映させ、改善に努める
- 感情でつながるとともに、科学的・理論的な情報も共有し続ける
- グループ名簿、グループのポスター、Emailリストなど一体感を創る
gPause Alzaのポスター
「端的に言うと、マインドフルな対人コミュニケーションの実践です。」
つまり、コミュニティ運営自体が、実践のモデルとなっているのです。そして、ニナさんの謙虚でフレンドリーなあり方に、参加者アンケートからも納得の声が上がっていました。
日本ではまだまだこれからの、組織内マインドフルネス・コミュニティ。
MiLIでも今後ご協力できることはないか、そのうったてとして素晴らしいインスピレーションと実際的なヒントをいただいた、意義あるマンスリーMiLIとなりました。
ご参加いただいた皆様も、真剣なご参加とたいへんリッチな質疑応答、本当にありがとうございました!!
2016年マンスリーMiLIは、参加者の皆様のための価値を創造するためにさらなる充実を図る所存です。2015年10回行い、延べ450名の方にお越しいただきましたこと、心より御礼申し上げます。
(ぼくらしゃふぇきみこ)
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