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幸福学・サードメトリック
ハーバード大学医学部教授が推奨:「多く」考えるより「良く」考えよう(New York Times記事翻訳)
2016.07.22
New York Timesに毎週日曜脳科学や心についての記事がGray Matter(脳の灰皮質と白黒はっきりしないことをかけた)という人気欄に掲載されています。今日は2016年6月19日の標題の記事(原題は”Think Less, Think Better”)を翻訳してご紹介。
- 自分の経験でありながら、私たちはいろいろ考えすぎて十分に味わえていない
- 余計な考えや考えすぎにとらわれないクリアなマインドでは、革新的アイデアが浮かびやすい⇒探求モード
- それがあれば、創造的考えに時間はかからない
- ストレスや注意散漫な状態で、思考の負荷がかかると、ありきたりのアイデアしか浮かばない⇒現状モード
- 瞑想リトリートなどで一定期間「何も考えない」思考の負荷を軽くして、クリアなマインドをすることを推奨
などのポイントが述べられています。
皆様の思考は、ぼんやりと無駄な負荷やストレスがかかっている状態が、デフォルトになっていませんか?
(ぼくらしゃふぇきみこ)
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ある私の友人は、起こっていることにいちいちコメントを付けるという悪い癖を持っているので、私は「君は自分の人生に対して傍観者のようだね」とからかっている。彼を擁護するためにひとこと付け加えておくと、我々はみな、最大限人生を経験つくしているとは言えない。私たちは頭で考えすぎて、目の前で起こっていることでさえしっかりと浸って経験できないことが多々ある。
ときには、それは必要なことだ。心がさまよい、朝の運転から「自動操縦」状態になっているからこそ、毎日の長時間通勤中に起きるあれやこれやにわずわらされず助かっている面もある。しかし、自分自身の人生から自分がいなくなってしまうようなことは嫌だ。我々はよく、味あわないで食事をしたり、美しいものを美しいと感じないで見ているものだ。娘との会話も、心がそこにいないままにしていることもしょっちゅうだ。(許して)
心が散らかっているとき、我々が外の世界だけでなく、いかに自分の内的な心の活動の可能性をつぶしているかということに、最近私は気が付いた。今月の「サイコロジーサイエンス」 誌上で発表された研究で、大学院生のShira Barorと私は、『独自性があるクリエイティブな思考』の能力は、散漫な思考、必要以上に深く考えすぎること、その他のあらゆる『思考への負荷』によって、著しく損なわれると発表した。多くの心理学者は『心は、何も制限がなければ使い古した既知の経路を使いたがる』という仮説を立てている。しかし、私たちの研究では、頭がスッキリしているときの基本の認知モードでは、革新的な考えや、ルーチンではない発想になることを示唆している。
一連の実験の中で、実験参加者に異なるレベルの思考への負荷を与えつつ、自由な連想をしてもらうというタスクを与え、た。例えば、半分の参加者に7桁の数字を覚え続けるように指示し、残りの半分には2桁だけを覚えさせた。これらの数字を記憶に蓄えておきつつ、ある単語を伝えて(例えば『靴』)、咄嗟に出てくる言葉を返答してもらった。(例『ソックス』)。
その実験でわかったのは、思考に重い負荷を与え続けると、返答にオリジナリティやクリエイティビティが失われるという結果が一貫して見られた。つまり、7桁の数字を覚えさせられた方の参加者は、いわゆるよくありがちな回答(例えば白と黒)をするのに対し、2桁の方のグループでは、一般的でない、多様性に富んだ回答だった。(例えば白と雲)。
他の実験では、返答に長い時間をかけた場合、その返答がより多様性の低いものになりがちという相関を発見し、一般的な『思考への負荷』が高くない場合、興味深い返答を考えつくのにより時間がかかるだろう』という見込みを覆した。むしろ、思考に重い負荷がかかると、独創性を欠いた考えであったとしてもより時間がかかるということのようだ。これらの実験で、心の自然な傾向として、好奇心旺盛で目新しいものを探すのだが、いったん何かで占領されてしまうと、慣れ親しんだ、必然的に面白味のない解決策を探そうとするということになる。
一般的に言って、私たちの脳は「探求」と「現状」モードで切り替えを行っている。「探求」モードのときは、物事を幅広い目でとらえ、好奇心を持って、何かそこから学ぼうという姿勢で臨む。一方「現状」モードの時は、既に知っていることとして自分の期待や、予想可能な環境に対する安心感を頼りに行動する。例えるなら、新しい国に行くときは「探求」モードになりがちで、一日よく働いて自宅に戻ったときには「現状」モードになるようなものだ。
私たちは普段、その究極の二極のどちらかの間にいる。どちらにいてもメリットがあるからだ。人類は「探求」モードでなければ洞窟から出てみるという危険は冒さなかっただろうし、既に知っている確実なことを頼りにしなかったらリスクを取りすぎて絶滅してしまっただろう。健全なバランスが必要だ。我々の研究では、心が何かに占領されていると、外的な環境に対する態度と同じく、内的な「探求」が行われなくなことがわかった。
毎日の生活で、後で立ち寄るスーパーのための買い物リストや、たった今で出会った人の名前を記憶するのに必死であったり、重要な会議の前の練習に余念がなかったり、と、自分の心が『いっぱいいっぱい』であることに気付く場面は多いだろう。もちろん、「今ここ」にいないのは、正常なひとつの心の状態だ。もっと慢性的で、ストレス、心配、鬱といった特徴の考えが繰り返し頭から離れない、心が何かに占領された病的な状態もあるわけだ。このような心への負荷が精神をすり減らせ、ぼんやりしたり何も感じない状態へと向かわせ、それは喜びを感じる能力も奪う。
ここ数年、自分の誕生日のご褒美としてヴィパッサナー瞑想リトリートで静寂の1週間を過ごすようにしている。1週間の静寂で自分の心や頭を空っぽにすることは、心が弱い人がすることではなく、誰もが一度は経験するといいと私は思っている。初めてのリトリートで私は、普通のトマトがこんなにも美味しいことや、肉体的に不快なことに対してそれほど心乱されなくなったことや、一輪の花を45分間も見つめていることが可能になったこと、一人で過ごしていても満たされていると感じることなど、多くの気づきを得た。そして、この「何も考えない」という経験の後、あらためて「何かについて考える」ことに戻ったとき、とても新鮮で驚きを感じた。
この古来からの瞑想の実践は、心を開放し、現在の経験をより豊かに感じることにつながると、私ははっきりと感じている。ただし、F-16戦闘機に乗るとか極端な恐怖や激怒しているとき、といった状況を除いてだ。そういった特殊な状況で心があれこれ考えさまようことはあるだろう。ぶれない精神力は物事自体を状況に左右されず楽しめるが、注意力散漫や考えすぎることは、あなたの生活の質に対する重荷となる。瞑想などの方法を使って心への負荷を減らす能力を磨けば、「外の世界」を素晴らしい経験として味わうことができ、また我々の研究によれば「あなたの内なる心の世界」にも同様のことが起こるはずだ。
Moshe Bar モッシュ・バー(神経科学者): Bar-Ilan大学 Multidisciplinary Brain Research Centerディレクター、およびHarvard Medical School、Massachusetts General Hospital教授。
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