Google、LinkedIn、Twitterの人材教育担当者が考えていること【Wisdom2.0報告】
2014.02.25
わたしが、今回のWisdom2.0の数あるセッションでなかで、最も参加したかったセッションの一つ、
それは、第1日目に行われた
“Wisdom-based Learning and Development(Wisdomに基づく教育、人材開発)”
というタイトルのセッションでした。
登壇者は、
Google,Vice President, Learning,のKaren Mayさん
LinkedIn, Global Leader of Learning/Talent Development, Kelly Palmerさん
Twitter,Head of Organizational Learning, Melissa Daimlerさん
(写真は、Karen Mayさん。)
つまり、Google、LinkedIn、Twitterの教育、人材開発責任者の方々です。
(ちなみに、3名とも女性。)
組織開発、リーダーシップ&人材開発に携わるものとしては、Google、LinkedIn、Twitterといった
先端企業の組織づくり、人づくりの担当者が何を考えているか、ぜひとも知りたいところ。
人気がありすぎて、参加希望者が部屋に納まらず、早々に入り口のドアが閉められてしまいました。
希望者は、2倍以上いたのではないでしょうか?
幸運なことにわたしは、なんとか立ち見で、滑り込み!
SIYLIのVice President もつとめるRich Fernandezさんがモデレータでスタート。
基本的に、質疑応答形式、でRichさんや会場の参加者からの質問に応じて、
3名が答えていくカタチで進行していきました。
以下に、その質疑応答の内容をいくつかご紹介するとともに、
今回のセッションから見えてきた彼らの企業の特徴と日本企業の共通点や相違点、
そして、全体を通しての所感を記載します。
1)彼女たちが考えていること(質疑応答よりいくつか)
Q:自身の取組みで注力していることは?
A:
Twitter、Melissaさん
たくさん(too much)の責任ややるべきことがあるなかで、日々のタイムマネジメントが重要となってくる。
いかに日々の中で、Spaceをつくることができるか。
突発的に反応したり、日々の業務に飲み込まれていくのではなく、Spaceをつくり、業務を振返り(Reflect)、
優先順位をつけた仕事を行っていくか。
また、Spaceについては、学習(Learning)の時間をいかにつくるかも重要。
LinkedIn、Kellyさん
トップの優秀な人材をトラックしながら、生産的で成功をおさめる人材に、育成していく上で、
会社のValueをいかに、社員に根付かせていくか。
そのために、マネジャー陣に会社のValueを浸透させるうえで、よりよい会話、コミュニケーション
を図っていくか、(部下を)コーチしていくかを促すようにしている。
Google、Karenさん
(Melissaさんの話を受けつつ)Spaceをつくっていくことがとても重要なこと。
成長を続けていく組織において、スピード感も大事だし、大勢の仲間と一緒にプロジェクトを
コラボレーションしていくことも重要。
しかし、スピードとコラボレーションは、トレードオフになりやすい。
プロジェクトを進めていく上で、スピードとコラボレーションのどちらを優先させるのか、
その時々に応じたバランスをどうとっていくか、
日々の中で、Spaceをつくりながら、振返っていくことが必要となってくる。
Q:社員がモノゴトを進めていくためのよい考えやいい状態を維持するために、何が必要か?
A:Google、Karenさん
マインドフルネスやメディテーション、フォーカシング、エクササイズ等を実施して、
スローダウンする機会を与え、意識的な状態を維持し、いまここにいる状態、また、
モノゴトに集中する状態を取り戻すことが必要。
Q:リーダーに求められるコンピテンシーとは?
A:Twitter、Melissaさん
リーダーもマネジャーも、部下やスタッフに対して、「コーチング」していく能力が必要。
わたし自身も常に一環した「コーチ」モードでいられるように、意識をしている。
2)彼らの企業と日本の企業の共通点と相違点について
マインドフルネスな状態を人も組織を目指していくと言っても、それぞれ上場企業であり、
フルスピードで業界自体が進んでいっている環境下において、当然、
そこに所属するリーダー、社員たちも、責任と成果が求められています。
つまり、日々の中で、責任や成果に対するプレッシャーや他社を先んじていこうと
するスピード感がとてつもなく大きく、そうしたストレスに彼らは毎日の生活の中で、
対峙していかなくてはならない環境なのです。
よって、彼らが「マインドフルネス」を目指す背景には、なにもしないと
「マインドフルネスとは対局の状態」に陥りやすい環境があると言えます。
だからこそ、意識して、Spaceをつくることをそれぞれの組織で重要視されています。
このSpaceには、時間的なスペースという意味と、Inner Space、
つまり、心のスペースという意味でも、使用されています。
日本の大手企業や中小企業に目を向けると、今の時代、どの業界でも、
順風満帆で順調にいっていますという企業はほとんどなく、生き抜くために、
大きなプレッシャー、速いスピードで大きなストレスを抱えながら、
日々の業務を行っているという点では、今回お話をうかがったGoogle、LinkedIn、Twitterに
代表されるようなシリコンバレーの企業と同じようなことがあてはまるのではないでしょうか。
しかし、一方で、日本企業は、出口の見えない袋小路に入ったままで、いまなお、がむしゃらに、
過去の「やり方」で模索を続けているように思われます。
いまの状態により適切にどう対処したら良いかを模索しながらも、これまでの思考から
抜け出すことができず、有効な解決策が見いだせず、結果として、1/3ともいわれているウツ、
もしくは、ウツ予備軍の状態に社員をさせていると言えるのではないでしょうか?
一方で、今回お話をうかがった組織開発担当者の所属する企業からは、大きな違いが見えてきます。
どのように、大きなプレッシャー、ストレス、速いスピード、とうまくつきあっていくか、また、
そのような状況であっても、より生産的に、クリエイティブになれるよう、有効なリーダーシップ、
マネジメントが発揮できるよう、冷静に考え、有効なメソッドを見いだし、実践に活用していると
いうことです。
3)万能の答えはない。彼らも走りながら、模索している。
Melissaさん、Kellyさん、Karenさんの話を聞いて、感じたことは、
「彼らも走りながら、模索している」ということです。
少し前であれば、それぞれの企業に、人材教育、リーダーシップ開発のプログラム、
カリキュラムがあり、仕組みとして、運用されていたでしょう。
それぞれの会社にそうしたプログラムはあるのかもしれませんが、今回の話を聞いた限り、
それらを重要視している様子はありませんでした。
それは、かれらが、時間をかけてプログラムやカリキュラム、仕組みをつくったところで、
すぐに陳腐化してしまうようなスピード感で、ビジネスをしているのであり、そこに依存できない
と理解しているからでしょう。
3人とも、「従業員がともに学び合うような場をいかにつくっていくかを考えている」と話していました。
自分一人だけでなく、チーム、組織で、常に問いをたて、答えを探究していく。
また、Melissaさんがリーダーのコンピテンシーで重要視している能力として、「コーチング能力」を
まっさきにあげていたのに象徴されるように、以前であれば、自分の指示を正確に伝え、
部下を動かしていく能力がより求められていたでしょうが、そうではなくなってきているのです。
つまり、リーダー自身も全く正しい答えなど持っていないということなのです。
「自ら問いをたて、答えを模索し、ベターな答えを創造していく。」
これができる組織が、環境変化の激しい時代、業界の中で、勝ち残っていくための条件だといえるでしょう。
これはまさに、日本で注目を集めつつある「良い会社(着実に一歩づつ成長し、利益を創出し、
かつ、社員満足度も高い会社)」で行われている「教えない教育」に通じるところがあります。
実行し、振返り、改善し、また新たに実行する、といういわゆる「学習サイクル」を回しながら
学んでいくことを、自社で推進する場や仕組みを用意していく。
実行したことを「いかに振返るか」、また、その振返りの時間をとるために、意識して日々
の中でスペースをつくる。
速いスピードで動き、ストレスフルな環境でも、自ら考え、行動し、意識的に常にスペースをつくり、
振返り、より良い方法を見つけていく、または、より良いアイディアを創造していくビジネスパーソン
が、これからも成果を残していくビジネスリーダーになっていくと言えるでしょう.
2月27日のマンスリーMiLI(マインドフルリーダーシップセミナー)では、Wisdom2.0の参加報告
もさせていただきます。ぜひ、ご参加ください!
以上 (おぎのじゅんや)
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