voice05精神科医の僕が患者のためにと思って受けたSIYで、一番救われたのは自分だった

精神科医 京都大学大学院医学研究科 脳病態生理学大学院生、メンタルキャンパス代表安藝 森央 様

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講座を受けるキッカケ
精神科医として患者さんの死に際して
受講した感想
「こうあらねばならない」束縛と新たなミッションに気づく
成果やこれからの目標
自尊感情の回復と、ミッションのため大学院へ戻る

精神科医として活躍されていた安藝さんは、受講後も次々とマインドフルネスの実践と学びを深めてきました。ついにはマインドフルネスと自尊感情の研究のため、今年4月より京都大学大学院に入り、今後のご活躍から目が離せないお一人です。そんな安藝さんに、ご自身のSIYにまつわる経験を話していただきました。

講座を受けるキッカケ精神科医として患者さんの死に際して

精神科医としてどうしても振り回されてしまう患者さんがいて、その人を治すのに、マインドフルネスを使えるのではと思ったのがキッカケです。二年間ぐらい勉強しにいきたいけどいけないなあ、と逡巡していたら、その患者さんが自殺されてしまったんです。
患者さんが亡くなることは、医師として出会うことですが、すごくショックだったのは、その人は自分にしか救えないんじゃないかと背負ってきたのに救えず、ああ俺ってなんもできへんやん、と愕然となったからでしょう。
それまで、自分にも他者にも「成長成長成長」とプレッシャーをかけ、ライバルに負けられないし、世の中は敵だしって、常に火消し状態で過ごしていたのも関係ありますね。
そんな状態からこの先に疲れを一気に感じてたところに、ググったらSIYという二日間プログラムがあると。二日間ならなんとか都合をつけて参加できるぞ、とすぐに決めました。

”精神科にかからずに自己解消できて、世の中の人たちがもっと穏やかに過ごせるような世界に”


受講した感想「こうあらねばならない」束縛と新たなミッションに気づく

まあSIYをやってみると患者さんを治すためのものというよりかは、自分自身のためにすごく役立つし、まずは自分からだなと。
マインドフルネスの実習を一つ一つやるうちに、自分を自分で縛って、こうあらなければならないという気持ちのもと必死に動いていたことに気づいたんです。そして、それを続けることが自然じゃないことだよねと気づけて。
さらにセルフコンパッションの実習がすごくよかったんですよね 。今でも君子さんのガイドを覚えてるんですけど 、それがすごく響いて、自分のこと大切にするんだったらそんなに厳しく頑張れと言い続けるのじゃなく、ちょっと自分のやりたいことを自分のペースでやれって言うだろなって、肩の荷がおりました。
そして自分が苦しい枠の中で生きてきたのがSIYで破れてきて、見え始めた世界はもっと優しく思えて、これをもっと多くの人に気づいてもらいたいと。最後にミッションをシェアした時に、精神科にかからずに自己解消できて、世の中の人たちがもっと穏やかに過ごせるような世界に、と言ってました。


成果やこれからの目標自尊感情の回復と、ミッションのため大学院復帰

”SIY受講後さらに変化だらけで、どれを言おうか(笑)”

端的には優しくなった、求めすぎなくなった、特に完璧を追わなくなりました。周りからも言われます。
SIYを受けて、立ち止まることで新たに見えてくることがあるよね、と止まったり休んだりを自分に許すようになり、そしたら美しいものが美しく見える様になりました。
曇りのない青空を見て「嘘っぽい」とイラッとしてた僕がです。(笑)
そしていつの間にか、自己嫌悪が和らいで、自尊感情が取り戻せていました。
で思ったのが、自尊感情って患者さんの大きな課題でもあるわけです。自傷、依存症、摂食障害などの原因の部分でも、治療の過程でも、自尊感情を取り戻せれば大きな助けになるはずだと強く思っています。
そこで、精神科医の仕事から一転、自尊感情やマインドフルネスを専門に学ぶため、この4月から京都大学の大学院に入学しました。それから精神科医だった時は、一人に面談5−10分しか使えないので、いい方法はないかと、前の職場の方向けのグループと、公開でインターネットラジオの両方で定期的にマインドフルネス瞑想を提供し始めました。心理状態を崩していた参加者からも、「薬を減らせた」「動じなくなった」と報告を受け、手応えを感じています。
またMBCCやMBSRなどマインドフルネスも学び続けています。
今後医療に戻るか、企業や一般の方のコーチングなどするかはわからないけど、間違いなくSIYがなかったら、今と全然違う僕が全然違う人生を生きてるだろうなぁ。